秋が深まるこの頃、皆様におかれましてもご多忙の日々をお過ごしのことと存じます。さて、昨今話題の「生成AI」。私たちの業界でもその名を聞く機会が増えましたが、「具体的にどう使えばいいのか」「何だか難しそうだ」と感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。かつて電卓や表計算ソフトが私たちの業務を一変させたように、生成AIもまた、使い方次第で強力な武器となり得ます。本格的な冬の繁忙期が訪れる前に、まずはその可能性の一端に触れてみませんか?今回は、11月末までという短期間で、安全かつ効果的に試せる生成AIの活用法を「賢いアシスタント」を育てる感覚でご紹介します。
ステップ1:まずは「守り」の業務から。所内業務でAIに頼んでみる。
いきなりお客様とのやり取りに使うのは不安が伴います。まずは、事務所内部で完結する業務でAIアシスタントの実力を試してみましょう。
- 長文資料の要約を任せる 新しい税制改正の解説資料や、難解な法律の条文など、読み解くのに時間がかかる文章をAIに投げかけ、「小学生でもわかるように要約して」と頼んでみてください。驚くほど短時間で、議論のたたき台となる要点整理が完了します。
- 研修資料やマニュアル作成の「壁打ち相手」にする 新人スタッフ向けの「年末調整の手順書」を作成する際、まずはAIに「年末調整の基本的な流れをステップ形式で書き出して」と指示します。その骨子を基に肉付けをしたり、「この手順について、よくある質問と回答を5つ考えて」と追加で依頼したりすることで、資料作成の時間を大幅に短縮できます。

ステップ2:次に「攻め」の補助へ。コミュニケーションを円滑にする。
内部での活用に慣れたら、次はお客様とのコミュニケーションを補助する役割を任せてみましょう。
- メール文面の「下書き」を依頼する 年末調整の案内や、必要書類の提出をお願いするメールなど、毎年送る定型的な文章。AIに「会計事務所として、お客様へ年末調整の必要書類を丁寧にお願いするメールを書いて」と依頼すれば、質の高い下書きが数秒で完成します。
- 専門用語を「翻訳」してもらう 「減価償却について、知識のない新任の経理担当者にも伝わるように説明して」といった具合に、専門的な内容を分かりやすく解説する文章を作らせるのも得意です。
【重要】 ここで鉄則となるのが、AIが生成した文章をそのまま使わないことです。必ず私たち専門家が内容の正確性を確認し、お客様一人ひとりに合わせて言葉を修正・加筆する。AIはあくまで「優秀な下書きアシスタント」と位置づけることが、信頼を損なわないための鍵です。

冬までに得られる成果
この秋、こうした小さな試みを重ねることで、12月を迎える頃には、所内に「AIにこれを頼めば仕事が速くなる」という感覚が芽生えているはずです。創出された時間は、顧問先との対話や、より付加価値の高いコンサルティング業務に充てることができます。それこそが、私たちが目指すべきAIとの共存の姿ではないでしょうか。この秋が、皆様の事務所にとって新たな一歩となることを願っております。

